rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第34章 wrong step on the stairs8
「早い…ね……もういいの…?」
「あー…、電話なら秒で切ったぜ。ガキじゃねえんだ……何度も何度も掛けてきやがって…ハァ」
「……ごめん…もう…あの。今朝みたいな……ことは、ほんとに…」
「~…マジで律儀だな。ならオレもマジで言ってやるけどな……問題ナシだ。ナシ。分かったか……?ほら返事はどうした?」
「っ……」
何をどう話せばこの場を切り抜けられるだろう。
そんなことばかりが脳裏に浮かぶ。
名無しは数分前に自分が口にした言葉について悔い、その場でひとり雁字搦めになっていた。
幸い捻ることの出来たバルブ、シャワーが流れるその音が二人の間に響いていることが、加湿器同様、嘘のように有難く感じる。
あんなに小さな声音で、聞こえる筈などないだろうと思ったことが結局仇となっていたのだから、名無しは自己嫌悪するしかなかった。
何を想い、馳せ、此処でシルバーを「待っていた」というのか――。