rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第33章 wrong step on the stairs7
切ない表情で頬を染め、らしくもなく純情ぶった顔になっていたことだろう。
そんなところを見られればきっと、弱い自分の、更に弱い部分を見せることになると思ったし、事ある毎に今後しばらくは冷やかされる気もした。
名無しはそれが嫌で、シルバーに催促されて腕をとられると、互い向き合った瞬間に自ら背伸びをしてみせた。
そして黙って彼に口付け、太々とした首に両手をまわし、再び抱擁を求めた。
「ん……ン…ッ…」
「……――で……、おねがい…」
「、……?」
「っ……行かないで…今日……ずっと居てほしい……――」
「!……」
あたたかな唇の感触に、気持ちも、身体の奥もむらむらとして、欲望が止まらない。
このとき、舌を絡め合う前に自分が言ったことを、名無しは火照りの所為だと必死にいいわけしていた。
けれど言われたシルバーはというと、名無しの切であり、またあまりに大胆だった言葉に一度驚き、密着で知った彼女の心拍数の速さに、嬉々を隠せずにいた。
ワンゲームあることを知った上で望まれた、留まって欲しいという名無しの願いを、シルバーが訊かない手は今更なかった。
wrong step on the stairs7
20191109UP.