rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第32章 wrong step on the stairs6
「ん……ふぁ…、お願い……退い…」
「ならさっさと挿れさせろよ……どうせ濡れてるんだろう?あいつに隠れて、オレの下で声殺して、たっぷり乱れろよ」
「……ッ、いや…!!」
「ッ……!おい……」
そのとき、ナッシュに言われた言葉の所為で、どこかの線が切れてしまったのだと名無しは思った。
今まで出来なかったこと……無力で抗うことひとつ叶わなかった自分が、その瞬間、ナッシュを押し返していた。
まるで縫い付けられていたベッドから起き上がると、あとに引けなくなった名無しは、その勢いで浴室へと慌てて向かった。
ナッシュにまた犯されるくらいなら……今までどちらも選び難く感じていた彼女が、本能的に選んだのはシルバーだった。
「……ハ…、……最高だ」
シルバーの元へ駆けた名無しを、ナッシュが追うことはなかった。
乱れた服の裾を持って整え、同様に髪をなおし、一度小さく息を吐く。
つかまえようと思えば彼には容易なことだった。
が、ナッシュが彼女の細腕を掴まなかったのは、その本気の想いを汲んだからとも言えた。
押し倒していた力加減はいつになく弱くして、名無しがシルバーに助けを乞うかを、彼は試していた。
抱きたいと思った気持ちは、また別次元の話として……。