rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第32章 wrong step on the stairs6
「ロビーで会ったんだよ……寝顔が見たかったらしいぜ」
「残念ながら見れなかったけどな……おまえが居なくて、寂しくて目ェ覚ましたんじゃねえのか?ハッ……」
「ハハッ……んな可愛いマネして待っててくれたら最高だな?!名無し」
不快だ。
一気に気分が下がってゆく。
名無しの手は少しぷるぷると震え、美味と感じていたコーヒーが、ただの苦い汁としか認識できなくなる。
悟られまいと必死に平然としていたけれど、同じ部屋にナッシュと、そしてずっと相手をさせられているシルバーも居る状況は、過去のつらい経験を思い出させる。
髪に触れる手を掃いたいと思ったのも、やはりまだどこかで絆されきっていないということだろうか。
彼と、彼等と、明るい未来など築けるわけがないと痛感させられる。