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rain of teardrop【黒バス/ジャバ】

第3章 rain of teardrop-3



「~・・・出しそびれちまったってのに・・・。まあしょうがねえか・・突っ込むクチが、下からまた上に変わっただけだと思えばよ」

「!・・・ん・・」


動きを止めたシルバーは、彼にとっては冷やかし程度だった下品な文句をいつものように垂らしていた。
ただ、すぐに場の空気にぴりぴりと走るものを感じると、彼もまた名無し同様、背筋に悪寒を漂わせてナッシュの視線に気付き目を見開く。

向けられた鋭さが持つその先は、誰宛てというよりはただ怒気に溢れているだけのような。

顔色を窺うだけでナッシュが相当きていたことは、しかとシルバーに伝わっていた。




「ハァ・・・ったくよ・・。名無しチャンが悪いんだぜ?ちゃーんと飲まねえから・・・怒っちまった」




二度目の高みのため、その強靭な浅黒い肉体を自らがつがつと揺らしてきた。
それなのに高潮の傍まで迫っていた波はぷつりと途切れ、萎えはしないものの、気を逸らされて表情は濁る。
そのうえどっぷりと浸かっていた好い場所を譲れと言われれば、本来なら絶対にそこを明け渡さないのがシルバーという男であろう。

今は幾分例外だった。
無にさえ思うその剣幕、ナッシュの一言に重みを感じ取り、素直に名無しの陰部から出て行かざるを得ない状況を、空気を読む。
シルバーは、果て損じた自分に対しとても悔しそうな表情を出してみせた。
下唇に通るピアスに構わず、そこを噛み締めていたことが何よりの証だろう。


「・・・ハハッ」


ただ、名無しのなかから出たからといって、ずっと引きずっているわけではないあたりもまた実にシルバーらしかった。
ここはコートの中ではないのだ・・・たとえ車中でも、形容に任せればそこはベッドの上にいるも同然。

焦る必要などない。
自身を満たす彼女の口には、まだ空きがあったのだから。


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