rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第30章 wrong step on the stairs4
「――……暗く…」
「え……?」
「~……あークソ……っ、…ちょっとは見させろよ……暗くはしてやるからよ」
「!……うん…――」
何を素直に頷いてしまっているのか。
性懲りもなく赤らんでいるであろう自分の顔を見られる恥ずかしさに加え、名無しが驚いたのは、射精直後のシルバーの穏やかな表情だった。
男だからそういう行為の後はすっきりしていて当然……とは、またわけが違っている気がした。
キスをされ、抱き締められながら肌をまさぐられた。
一頻りするとひょいと横抱きにされ、ベッドまでの数歩で紡がれたのは、想像もしなかった言葉。
この男と交わす約束なんて、あってないようなものだ。
それを、こんなささやかな契りでも素直に応じたシルバーの態度が、名無しは嬉しかった。
「………」
望みどおりの下着を纏い、愚行に走ったなと思った。
が、包みこまれた彼の腕の中、思いのほか温かかったことが、名無しに素直な気持ちを抱かせていた。
ベッドに寝かされると、シルバーが名無しに馬乗り、再び濃密に口付けながらサイドボードに手を伸ばす。
ほんのりと暗くなってゆくその部屋で、その日初めて乱されたシーツは、歪に模様を描くばかりだった――。
wrong step on the stairs4
20190811UP.