rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第30章 wrong step on the stairs4
「ほーらこっち向け。可愛い顔見せてくれよ……名無し?」
「……ぁ、む…んん!」
「ン……チュ――ちゅ…ハァ……」
相変わらず、シルバーの言葉を信じきっていいものか悩むところだ。
女無しでは到底生きるのも難しそうな男が述べるそれ。
けれど名無しもまた結局、信じることで自分が幸せと思える状況を自ら作り、選んでいた。
真偽はさておき、まるで共犯者のような存在にすら感じるのは、気のせいでもないのだろう。
もしもシルバーが裏切っていても、自分だって、不本意ながら彼を裏切っていることになるのだから――。
「ん……ぁ…」
名無しはやきもちを妬いた時、拗ねたような仕草を見せ、シルバーに対し視線を逸らしながらそっぽを向く癖がついていた。
まあ、その仕草もまた、シルバーにとってはたまらないものがあったのだが、当然それだけで満足できる筈もなかった。
機嫌を直させる為に少し強引に手を添え、頬を撫で、顎をクイと持ち上げる。
そうして再び目が合うと、シルバーは名無しの否応に関わらずキスを繰り返す。
そして、当然のように愛撫も派生させていた。
「は、ぁ……!!」
ベッドに行く前に扉の前で軽く耳を舐め、簡単に折れそうな細い首筋に吸い付く。
シルバーは名無しの背に片腕を伸ばすと、ワンピースのファスナーホックを指先で摘み、それをすぐ下ろした。
そして着崩れて肩が露わになると、今度はたちまちその片腕は足に伸び、裾を捲って下着を目指した。
彼には、その場で一目散に確かめたいことがあった――。