rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第30章 wrong step on the stairs4
「………」
目的の階にエレベーターが到着すると、当然扉は開かれた。
名無しが乗って二度目だ。
一度目は数十秒前、先にナッシュがボタンを押していた階に停まっていた。
『なぁ……シルバーはまだ嫌がると思うか?』
『…なにを……』
『ん?オレが混ざることに決まってるだろ……?そろそろ同時に攻められて、感じて……セックスのことだけ考えてアンアン言いてえ頃だろう?』
『ッ……変なコト言わないで…』
『――チッ……冗談だ。マジで変わらねえなおまえ……。じゃあな』
ナッシュがどのタイミングで、いつの間に自分の降りる階のボタンに手を伸ばしていたのか……。
今の名無しにとって、それはどうでもいいことだった。
正直相乗りされたとき、どこまでついてこられるものかと冷や冷やしていたし、もしもそのままシルバーの待つ部屋まで来たのだとしたら、性悪以外の何ものでもないだろう。
そもそも自分にはナッシュの存在そのものが悪だったし、ありえなくもなかったから、名無しはそれが恐ろしかった。