rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第30章 wrong step on the stairs4
「……はぁ…ヤリてえな…」
ターンダウンの済んだベッドにひとり仰向けで寝そべり、大足を広げて覗く携帯。
同じく名無しとの通話を終わらせたシルバーは、その後アプリを起動し、動画ファイルを開いていた。
データが飛んだあと、再びチームメイトから共有してもらった名無しのその映像は、今となっては彼の携帯にしか存在しないもの……。
自分が名無しに惚れ込んでいるのは周知の事実、ゆえに有無を言わさず周りにはデータを消させたし、それはむしろシルバー自身が行っていた。
「フッ…カワイイな……早く来いよ…名無し――」
本気で嫌がっていながら嬌声を出す、まだ彼女のことを何も知らない、出会った当初の頃の映像。
そんなものにさえ未だに興奮を覚えてしまうのだから、そして見飽きたらずに何度も見返してしまうのだから、シルバーは自分がおかしくて仕方なかった。
歪んだ愛情を持った動かぬ証拠だ……たとえ名無しが自分に心を許しつつあり、鍵を開けつつあり、互い、なにかいま以上の進展を望んでいようとも。
セックス以外に繋がり合えるものがあるなどと、今のシルバーに考える余地はまだあまりなかった――。