rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第29章 wrong step on the stairs3
『…あれは……ん、分かった……』
『……ふあー…、起きるか。シャワーだろ……んで、いい加減なんか食えや』
名無しが起きてからシルバーの部屋を出るまでのあいだ、彼と話した内容は様々だった。
たとえば朝食を食べている時は、一切興味を示さなかった、むしろ示さなくて当然だったチームのこと。
名無しは自身の胸が痛みながらも、試合の話をしてくるシルバーが楽しそうだったゆえ、それを黙って聞いていた。
素行も女癖も…何もかもが悪いと評判でも、実力があるからこそ大口も叩けるそれだろう。
中身が多少盛られているかもしれなくとも、気にならなかったのはきっと、自分の気持ちが彼に傾いていたからだ。
シルバーが主に話しているあいだ、名無しから振れた話題は僅かひとつだった。
こちらは気になって仕方なかった、自分が渡した箱の行方についてだ。
名無しはゆっくり開口し、自身の着替えの最中にそれを問うた。
服を頭に通して乱れた髪を背後から直したのはシルバーで、名無しはそんなことをする彼にもやはり驚いていた。
相変わらず慣れている……が、不思議と前ほどの嫉妬心は募らなかった。