rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第29章 wrong step on the stairs3
「………」
ようやくまともな時間に起床して、外で陽光を浴びた気がした。
公共の乗り物に乗って向かった先は自分の家だ……もちろん帰る為に。
狂ったような二日間を過ごしたのだなと自覚ができるのも当然で、身体に残る怠さが、それを夢じゃないと思い知らせている。
「…ッ……」
扉の傍に立ちながら、降りる駅まで片手で無意識に触れる自分の耳元。
すっかり外しどきを逃していたシルバーのピアスを指先で弄ぶ名無しの表情は、意外にも穏やかに窓ガラスに映っていた。
ほのかに灯る、内に秘めた熱はまだ燃え上がることはなかったけれど、それは決して消えることもなかった。