rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第28章 wrong step on the stairs2
「ッ……あの…」
「夜には戻るっつったろ……忘れるかよ。オレが言い出したことだろうが」
名無しが眠ったのち、ナッシュは部屋をあとにしたのだろう。
彼はもう居なかったのだから、そう決めつける他にないのがまあ現状である。
すやすやと深く浅くを繰り返す睡眠をとる中、シルバーもまた現地で目を覚まし、慌てて此処へと戻ってきていた。
暗い部屋のなか、まだベッドに横になっていた名無しを見つめ、再び誘われた眠気に抗えず、反射的に隣へと寄り添った。
シャンプーと香水の混ざった自分と同じ香りを感じれば、シルバーがまた眠るまでに時間を要することはなかった。
起きて互いを認識し合ったのち、他人と交わってなどいない……そう徹底して口にするシルバーを信じるための証拠なんてどこにもなかった。
けれど名無しは、シルバーが誰かと寝たかもしれないという仮説に覚える悋気よりも、いまは自分自身がとても彼を欲しているという事実を受け入れるのに精一杯だった。
そしてその衝動は、決して止められるものではなかった。
早朝、囁かれた言葉だけは嘘じゃないと分かったから。
本当に戻って来てくれたことがあまりにも嬉しくて、辱められて一旦落ち着いた身体にまた、熱が灯る――。
「大体おまえ、何か食ったのか?適当にあっただろうが……その様子だと何、も……!ッ……ん」
「……ッ――」
「っ……おいおい…腹の減りすぎでおかしくなったのか?まあ……おまえからこんなことしてくるのも多分初め、て……、!!おい…」
「…ッ、……おなかは……大丈夫…だから。――ッ、挿……て…」