rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第28章 wrong step on the stairs2
「アー……起きたのか?」
「!……あの…」
「、……悪かったな」
「ッ……え、……え?!」
「ああー…ん……試合の後なァ、そのまま連中と女の部屋に移ったら、オレだけ寝ちまってたってオチだ……吃驚したぜ」
「あ…の……それって…」
「っ……アー…おまえとずっとヤッてたからに決まってるだろうが……久々に疲れが出たんだよ。ハァ……まあ寝ちまったが何もねえよ……オレも寝るのに必死だったみてえだからな」
名無しは起きぬけの脳で、必死に思考回路をフルに回転させてみせた。
が、どうしたって居なくなっていたナッシュの思惑は全く読めなかった。
自分を散々傷つけて、まるで古びた雑巾さながらに、愛情も何もなく弄ばれた。
もっとも、愛が無いのに、絶頂だけは何度も感じさせられたけれど――。
たとえ強姦でも、その快楽という効果ゆえに、本来ならば気の迷いさえ名無しは感じてしまうところだろう。
身体の反応はさておき、それでもナッシュを本当に嫌がっていた彼女の気持ちは事実だった。
「えっ…と……」
「……何もやってねえよ、マジで。眠りが浅くなって目が覚めたタイミングで戻ってきたんだよ……ハァー…ビビったぜ。おまえとの約束がパーになるところだったからな」
「ッ……」
「おまえも一日寝倒してたみてえだな…。シャワーは……浴びたのか……ん。…同じ匂いだ、オレ様と」
ベッドで最後に犯されたときの記憶はもう思い返したくないし、鮮明に辿ったところで、全身はぼろぼろ、相当どろどろにまみれていたと思う。
そんな無数の体液で汚れ、髪も乱れていた筈の名無しの身嗜みをわざわざ整えたらしいナッシュの考えが分かれば、今の彼女が苦悩することもなかった。
まるで本当にシルバーが戻るまでのあいだ、彼とのセックスの所為で疲れ果て、ゆえに大人しく眠っていた状況に場を仕立てられており、困惑が極まるのも当然の流れだった。