rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第28章 wrong step on the stairs2
「……ハッ…!!……はぁ…」
フィクションでよく目にする淫魔がもし存在するとしたら、今がそうなのではないかと疑う。
眠ったあと夢の中に現れて、現実さながらにその主を喰らい、身体を犯し尽くす。
魘されて、漏らす吐息と嬌声が本物かどうかもよくわからなかった。
そんな状況の今は何処か、時計の針は何時を差していたか……。
名無しは背中に流れる大量の汗にゾッとし、勢いよく目を開けながら自分の起床をゆっくりと理解した。
「……?!あ…、え……?!」
「ん……」
真っ暗な部屋、ベッドの上。
鼻をかすめる嗅ぎ慣れた香りは、今では不快に感じないそれだった。