rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第27章 wrong step on the stairs
「おいおい……おかえりくらい言えねえのかよ」
「や……、ッ…ぁ……」
「まあ言えるわけもねえか。フッ……シャワー浴びて機嫌好くシルバーを待つつもりだったんだろうが……残念だったな。アイツは今日は帰らねえよ」
「っ……」
体温が奪われてゆくのが分かる。
裸だったというのも勿論理由のひとつではあったけれど、それ以前に、身体も心も状況に追い付けずにいる。
名無しは困惑することしかできず、苦々しい表情を浮かべた。
唯一の逃げ道である扉をナッシュに塞がれ、背後にも下がることができずにその場で往生していた。
両手で覆った胸元は、手首を掴まれることですぐに曝け出さされた。
「いや……オレがそう仕向けたようなもんか、ハハ……ッ。……今頃は女の部屋で、これからってところじゃねえか」
鋭い目つきに垣間見る恐ろしさは痛いほど知っている。
何も話せなくなり、何も抗えなくなる。
ナッシュを前にすると、まるで身体に毒を盛られたかのような感覚が走り、いつだって一瞬にして窮地に陥れられた。