rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第26章 nothing in return3
「――……ッ、…」
夜までには戻る――。
そう耳打たれたかのようなシルバーの囁きを思い出し、身体が疼く。
下腹部がぎゅっと熱くなったことを気のせいと捉えるには無理があるほど、名無しはこのとき、自らの下半身に濡れが生じた事実にひとり驚いた。
まるで感じたシルバーの名残が、中でぐるぐると掻きまわっているかのような……。
伸ばすまいと決めていた利き手が自然と伸びてしまったその先は、自分の陰部のほかなかった。
「……――…ほら…やっぱり最低……」
指先に光り絡む、艶めいた体液が描く曲線を虚ろに見つめる。
俄かに肩でする呼吸に混ざって呟いたのは、自分自身漏らした詰みの一言だ。
その重さに心底嘆きながら、それでも名無しは刹那的な快感を得て、いやらしく頬を赤らめていた。
シルバーの帰りを今か今かと待ち望み、三度び閉じた瞳が次に開いた時、彼女の捉えた光景は――――。
20190429UP.