rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第26章 nothing in return3
「……」
電話を切った後、何度か空咳をするうちに頭痛は消えてなくなっていた。
気の所為だったということだ……頭が痛くなるのは、どう考えても精神的なものが大きかったはずなのだから。
携帯を手放して名無しが一度起き上がると、向かった先はキッチンだった。
ベッドになかったものが元あった場所に戻っているかもわからない……それはおおよそ不確定なことだったけれど、目にしてみる価値はあると思った。
「……無い…」
名無しが探していたのは、自分がシルバーに宛てた例の箱だった。
屑籠にも棄てられてはいなかったゆえ、考えられるのは、彼が持って出て行ったということ。
複雑が過ぎた。
が、決して嫌な気持ちにもなりきれない。
つまるところ嬉しいという感情が胸の中で膨らんでいたし、名無しは安堵のため息を一度吐くと、また寝室のベッドへと戻り、そこで横になった。