rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第26章 nothing in return3
―――。
――。
『……すぅ…』
『――……おい、名無し?』
『……す……、んん…』
『~……まあしゃあねえか。此処で大人しく寝てろや。夜までには戻るからよ』
名無しがひとりベッドで暇を持て余していた数時間前、それは早朝のことだった。
もともと朝が早いと予め名無しに告げていたシルバーは、宣言どおり、本当に朝早くに起床し、身支度を手短に済ませて外出していた。
何の予定かなんて聞くのは野暮だ。
彼がどこのチームで、どういうポジションでどういうスポーツを嗜んでいるかを知っていれば、それ絡みの件で朝が早いこともまああるのだろうという憶測をするのも容易だった。
とはいえ、起床が早いゆえに昨晩ははやめに別れたというのに、結局シルバーは名無しを帰すことができず、部屋に引き戻している。
深夜も散々抱いて、真っ当な睡眠をとったのはほんの数時間前……ざっと二、三時間程度だろう。
それでも目を覚まし、眠そうにしながらシルバーは出かける準備を整えていたのだ。
隣で気持ちよさそうに寝落ちていた名無しの、少し疲れているような顔を見つめながら。