rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第24章 nothing in return
―――。
――。
「ん……名無し?――あー……帰ったんだったな」
利き腕の中に心地よく乗る重みがないと、最近はどうも朝が来るまでに何度も目が覚めてしまう。
その目覚めの悪さはなかなかのものだったけれど、苛立ちが少ないのは、寝落ちるまでに享楽に浸かっていたからの他なかった。
「……んんー……」
乱れたシーツから覗く浅黒い肌。
無駄な肉は無いに等しくも、パーツのひとつひとつは太ましく、鍛え上げられているのがよく分かる。
たとえ上質なベッドであろうとも、寝返れば微かに聞こえる脚部の軋み。
その音は、そこでシルバーがいつも何をしているかを物語っていた。