rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第24章 nothing in return
本来眠るためのベッドが、その用途どおりに使われているのを客観的に見ていると少しホッとする。
揺らすものでも軋ませるものでもないということだ。
「んー……」
「……」
鞄の持ち手を掴み立ち上がった名無しは、スカートの皺を一、二度伸ばし、シルバーの寝室をあとにしようとしていた。
振り向いたのは、起きるかもしれないと思ったから。
というよりは、起きて欲しい……という想いを、少しでも持っていたから。
「……ハァ…」