rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第23章 sperm shower
「シャワー行こうぜー?名無し……また綺麗に洗って乾かしてやる。おまえにしかやらねえよ」
「……ッ…、そん…な…」
そんな言葉。
まるで浮気でもされた女を言葉巧みに宥め、許しを乞うふりをする男のような台詞――。
「で……やっぱ泊まってけよ。帰したくねえんだよ……」
またひとつ、沈められる。
清廉な空気の舞う地上が遠退き、溺れさせられる。
シルバーという男の狂気に侵され、横に振るべき首を動かせずに、名無しは蒼白していた表情を赤らめた。
「………ッ」
「!……フッ」
非力な細指が再び握り締めたのはベッドシーツではなく、自分に少しでも視線を近付けるために射精のあと膝を折っていた、シルバーの穿いていた服の生地だった。
唇を噛み締め、自尊心を汚されながら小さく頷いた名無しを笑った彼の声音もまた小さかったけれど、このときの名無しの耳には幸か不幸か、それが届いていた。
知らないふりをしたのは、またシルバーの言葉に嘘が混じっていると思ったから。
名無しが心底辟易したのは、その上でどうか、彼の言葉微笑に嘘がないようにと願っている、自分自身に対してだった――。
20190303UP.