rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第23章 sperm shower
たとえば硝子にヒビが入れば、じき広がってゆくのは必至。
心に出来た隙も同じだった。
真っ白な領域を抉じ開けられ、土足で踏み入れられる前に行動にすべき今はそんな状況であろう……。
殆ど乾いた髪がシルバーの手から離れるように頭を動かし、名無しは立ち上がった。
伸ばせば届いた鞄を手に取ると、振り向くことなくシルバーに零した帰り文句は、ありのままストレートに口にしてみせる。
「……っ」
手を掴まれるかもしれない。
どうせ囚われて、いつものように帰れなくなるかもしれない。
想定し得る不安を胸にベッドから飛び降りると、名無しはただ玄関目がけ、一歩一歩進んだ。
が――。
「!!」
「ハァ~……」
直後、彼女の足がシルバーによって止められたのは、玄関までに通るキッチンの前でのことだった。