rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第23章 sperm shower
「こんな……だってこういうのは…その……」
「あん……?」
「ッ……だって…」
「あーあー……分かるぜまったく。おまえもいい加減素直にならねえよなァ……まあそこも好いけどよ」
「――……っ」
髪の特別短いシルバーがドライヤーを常用していること、使い慣れていたことに疑問を持ったのは、初めて乾かしてもらってからまもなくのことだった。
理由なんて分からない方がバカだろう……何せシルバーである。
粗暴であるにもかかわらず、大きな手の中で握り締める髪の扱いはやたらと繊細で、とても丁寧に感じた。
送風音の響くなか零したため息を聞かれていたのも、きっとその音の中での会話を彼が経験しているから――。
「……ッ」
どうしても無心でいたかった。
けれど、ナーバスになってしまった原因も明白だった。
また認めたくなかった感情、想いが波となって押し寄せて名無しを掻き乱してゆく。
容姿とは別に、たかだか髪のことだけでさえ嘘でも称賛され、悔しいかな悪い気分にはならなかった。
どころか、素直に嬉しいと思ってしまった。
「ほらよ……乾いたぜ。――名無し」
「ッ……、帰る………」
「!おい……」