rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第22章 unesiness
「……浮かれた面してるな」
それはちょうど、公園横の通りを歩いていた休日の昼さがり。
中身が空になったボトルを手にしていたシルバーは、当然それを不要と思い、周囲を見渡しながらあるものを探していた。
ほどなくして自分たちの居た場所から少し離れたところにゴミ箱を見つければ、当然彼はそこにボトルを投げつける。
手首をクイと動かして、空中で弧を描くように放り出されたそれが籠の中にすんなり入ると、隣に居たナッシュが嫌味混じりに小さく囁いた。
「あァ……?なんか言ったか?」
「……いや…ただの独り言だ。気にするな」
仲の良い証でもある皮肉は、薄ら笑いながら。
彼の言葉には、シルバーの調子がすこぶる良かったという意味合いも含まれていた。
「で?今日も会うのかよ」
「ああ……夕方な。部屋に呼んである。……来るなよ?」
「フッ……念押しか…笑わせるぜ」
我ながら腹の底で、口にした言葉に少しばかりの疑問を抱く。
まだ何処かで諦めていない自分が居る……などと考えるのもおかしなことだけれど、それがナッシュの胸中にあった本音でもあった。
もっとも、愛だの恋だの、そんな次元の話じゃない。
人のものを奪った瞬間に味わえる愉悦が、単純に欲しくなる時もあるという話だ。
シルバーを夢中にさせる、たったひとりの――。