rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第21章 the end of thought
「おいおい……冗談だろうが……、けどまあ指は感じてたもんなァ?またそのうちやってやるよ……クチュクチュされんの、好きだもんなァ?――ん……」
「!……痛…、……ッ」
シルバーは、自身の大きな手と太い指に見合わず器用に指先を使って、小さなピアスのシャフトを覘かせた。
その形状ゆえ、決して長くはなかったシャフトの先端を名無しの耳たぶへと添える。
囁きまじりに機を不意打ち、貫かれた一矢に悲鳴が上がるのは当然であろう。
嫌な汗は額にも滲む。
名無しは事後でもないというのに短い息をして、急激に高まったストレスと焦燥を胸中感じていた。
「つ……ぅ…」
「フッ……一瞬だったろ?ほーら動くなよ…ん……チュ」
「!ふ、…う……ッ」
「首輪は目立っちまうもんなァ?!その代わりだ……付けてろ」
「ッ……うぅ…、ん…」
「、……」
ときに、シルバーにとってベッドの上というのは、睡眠とセックスをする以外にはあまり用のない場所だった。
その寝具が、性交時に聞こえるような軋みとはまた違ったリズムのそれを響かせ、数秒のあいだ不規則に音を上げている。
普段無いようなイレギュラーが起きたのはなかなか新鮮な出来事だったのか、それがまた逆に彼の昂りを誘い、身体の内側を火照らせる。
穴が開いて間もないのだ、耳をおさえながら息を乱す名無しを傍に、シルバーは一度唾を飲み込んだ。