rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第21章 the end of thought
「…カラダ……」
「あァ……?」
「っ……汚れたまま…だから。シャワー……、わ……?!」
「……その前に、だ。……ほーら返せよ…それともなんだ?気に入ったのか…?」
名無しは重いまぶたが閉じきらないように必死で意志を保ち、浴室に向かいたかったことをやんわりとシルバーに匂わせた。
足腰も、肘もまだ少し震えていた。
けれどその場その瞬間、自身の小さな願いを口にすることで訪れる新たな近しい未来もあるだろうと、か細い光明に望みを賭ける。
実際向かうことが可能かどうかは別として、シャワーに行っても良いかを問う。
すると名無しは突如としてシルバーに覆い被さられ、その拍子に出した驚きの表情のまま、彼に唇を塞がれた。
「ん……ッ」
そのキスはまるで、シルバーが、彼女の存在が自身の傍にあることを確かめるかのように交わされていた。
すんなりと唇が離れてホッとするも、急激に背に走った嫌な予感が、名無しに陰湿な汗を掻かせる。
掴まれた手首は、ピアスを持ち続けていた方だった。
嫌な予感は、またも確信に変わった。