• テキストサイズ

rain of teardrop【黒バス/ジャバ】

第21章 the end of thought



「!……ッ…、ん」

「あーもういいっていいって……んー…。ハァ――やっぱ寝心地サイコーだな…おまえの隣はよ」


頬杖の構えを見せ、口元を緩ませて名無しを見下ろすいやらしい視線。

線の細く、明るい髪を太ましい黒指がそっと撫でる。
女性的な顔のラインをなぞる仕草もまた、事後を思わせる卑猥さを持っていた。


「ん……」

「…またすぐ寝落ちてやがったな……」

「、…う……」

「フッ…。けどまあ分からなくもねえよ……オレもまんまと落ちちまった。折角もうちょっとヤッてやろうと思ってたのによ。ハハッ」

「っ……」

「――かわいかったぜ……?すやすや眠って、気持ちよさそうで……おまえの寝顔はずっと見ててえな」


絆されてはいけない。

こんな意外性を突くような、甘い言葉に惑わされてはいけない。

性分を知っていれば、いま耳にした言葉はすべて、嘘に等しいのだから。

名無しは馬鹿正直に寝そべり続け、ふと目を覚ましたシルバーと話している状態に甘んじている自分を嘆かわしく思った。
が、早々に起き上がり、シャワーを浴びてこの部屋から出るべきなのだと頭で分かっていても、身体がその気持ちに追いついてはくれなかった。

まず、それだけ疲れていたのだ。

全身に漂う疲労感が、あわよくばと再び眠気を誘っている。

ここで寝てしまえば、きっと今夜はもう帰れない……。
またシルバーの腕の中で溺れるに違いないだろう。


/ 428ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp