rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第21章 the end of thought
「……ンー…、?どうした……」
結局名無しは自ら行動をひとつも起こすことなく、絶えずシルバーのピアスを手にしたままだった。
大した時間は過ぎていない筈だ。
けれどぼうっとしていたあいだに、いつの間にか身体にはグイ、と圧を掛けられる。
その瞬間に驚いて、つい声が上がってしまうのはごくごく自然なことだった。
大きな身体の方へと抱き寄せられて、当然、それが出来たのは自分以外の、大きな身体をした本人である。
薄く目を開きながら起床したシルバーの腕の中に、名無しはまんまと閉じ込められていた。
「…ッ……」
「?あー…なんだ、オレのか……?…取れちまってたのかよ」
「……頭に……、あたって……」
「、……フッ…なァおい……もう逃げねえんだな?おまえ。……?シャワーもまだ浴びてねえのかよ」
最初の出会いから時間が経過するにつれ、警戒心が解けてゆく事実を名無しは受け入れられずに戸惑いを見せる。
なんというかまあ、意地のようなものだ……自然にベッドの中で会話していることだって、本当はあってはならないものなのだから。
破損しないよう手中のそれを半ば大切に持ち、目を覚ましたシルバーには、起床と同時にその瞬間を捉えられていた。
ゆえに彼もまた、行為の最中にピアスが外れたことには当然気付いたであろう。
名無しを抱き寄せた腕を彼女の首元から抜くと、シルバーは横になったまま、枕元で肘を付くように体勢を改めた。