rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第21章 the end of thought
「……はぁ…、――……?」
ため息まじりに再び寝返ると、名無しはシルバーに背を向け横になった。
が、そのとき固さの顕著だった、彼の腕の筋肉が触れていたことによる痛みとはまた別のそれを感じる。
ゆえに頭上には疑問符が浮かび、後頭部の違和感の正体にもすぐに気付いていた。
名無しは数回まばたきをして、小さく声を上げた。
「、これ……」
少しばかり頭を浮かすと、そこに落ちていたのは輪状の異物。
一目見て分かったそれは、シルバーが身につけていたピアスだった。
「………」
髪と同じ色をした、小さな輪っか。
そっと拾い上げながら、寝そべったまま二本の指で掴み、何となしに宙へと翳す仕草をとる。
名無しは無言でそれを見つめると、物思う表情を零し、目を細めた。
ふと視線を横に振ってシルバーに向ければ、ちょうど複数個、耳に通されていたピアスのうちのひとつが無くなっている。
落ちていた原因の、すんなりと疑問が解けた心境はどこか複雑だった。