rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「あ……、ッ……ふぅ…ん……、…あの……っ」
「ハ…ァ……んー?」
「――……ッ…」
「なんだ……上手いぜ?ちゃんとしゃぶってんじゃねえか…」
「ちが……そ、の…」
陽物の根元を手で扱き、軽く摩擦を加えながら、カウパーの垂れる先端に唇を窄める。
名無しはシルバーにそれを施すことで、自分も一番感じる場所を攻めて欲しいという意思表示をしていた。
ただ、前例があったばかりゆえ、言葉にしなければきっと通じないだろうとは思っていた。
だから口淫を続けたまま、名無しはそっと喉を鳴らす。
恥ずかしがっても、今なら顔も見られていなかったから大丈夫と思った。
互いに同じことをしていた今だからこそ、願わずにはいられなかったのだ。
「……う…」
「…ハッ……可愛いぜ…どうせまた照れてんだろ……」
「っ……!!ひぁ……」
「んー……ココだ……、ン……ッチュ…」
「ひ……ゃあ…ッ、あ……!」
「!フッ…また濡れてきやがった……ん……分かってるぜ。そんな見くびんな」
愛でられて、快楽を特に感じやすい場所への刺激が、純粋に欲しいと思った。
相手がシルバーでも、ではなく、シルバーだったからこそ。
焦らされた身体を順に愛されて、愛撫さえ互いに交わしあって、伏せていたその先の欲目を強く滲ませる。
どうせ通用しないと落胆していた名無しにとって、シルバーが舌先を宛がう場所を変えてきたのは想定外に嬉しいことだった。
きっと、相当浮かれていたのだろう。
独占したいと想う相手に咥えられ、心にゆとりができていた結果だと思った。
驚きと快感に身体が跳ねる。
駆けあがる先は、享楽の海に落とされながら――。
「は……ァ…っ、んん……ッ」
支配して、組み伏せて、言葉で嬲ったりの非道が続いても、それは二人のあいだにある歪がほんの少し薄らんでいた何よりの証だった。