第20章 in the maze

「おまえ……重症じゃねえか…、我ながら笑っちまうぜ……ハハッ…」

「……！んん…ッ…、は……、ゃ…」

「そんな重症ないやらしい女にはあれだな……おクスリが要るよなァ？！欲しいかよ……ん？」

「…っ、……！！あ……」


何度も何度も想像の上を行き、自分を驚かせる。
そのたびに興奮は止められなくなって、猛々しい下半身は、我欲を満たしたい想いで漲った。

名無しの決意の程、とまではいかずとも、疑いようのない事実が彼女の身体には表れている。

まわされた腕は何よりの証拠になった。


「ふ…んん……ッ、はぁ……っ」


シルバーだって分かっていた。
名無しが自分に腕を伸ばすときは、やむを得ない場合ばかりだったことを。
頑なに拒絶して、意地でもまわさないことの方が圧倒的だったことを。

ぎゅっと抱き付かれ、か弱い声音で囁いたそれこそ、名無しの真の懇願だろう……。

触れあった肌のあまりに心地好い――。
可憐に聞こえた女らしい声が鳥の囀りのように耳元で響くと、シルバーは名無しの身体をベッドの上で抱きかかえた。