rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「……っ…?!ふ……あ…」
「フッ……、ん……ハァ…チュ――」
「や……なん、…で…ッ!ひゃぅ……」
「ハァ……熱いぜ?おまえの身体…んー……」
シルバーの読みはまんまと当たっていた。
名無しは身体に舌を伸ばされつつ、やがてはすぐ、その違和感に疑問を抱いた。
そしておかしいと感じた瞬間に、恐らくは自分の言い方がよくなかったことを、気のない彼の愛撫で瞬時に悟る。
喘ぐためでなく、問うために口を開いた矢先、シルバーの表情がにやついたのも決定的だった。
「……ふ…ぅ…」
そういうことだ……。
楽しさゆえか、彼の這わせる長い舌は、軽快さや、ふざけた雰囲気さえ含んでいるような……もろに遊ばれている気がした。
「……ッ」
首筋を舐めたのは、すぐに悟らせない為の演出――。
名無しがそこを愛でられるのを好んでいたことを利用して弄び、頭を下へとおろしてゆくたび、薄い皮膚を避け粗末に舌を出す。
早い話が、相手に愛撫されて嬉しいと思ったり幸福感を味わえたりするような箇所を、シルバーはすべて、わざとスルーしていた。
たとえば胸元は分かりやすく先端だったり、下半身なら、彼女の好きな鼠蹊部や下着のライン、果ては中心だったり……。
舐められたいであろう部位を全部飛ばしてより懇願を煽ぐことが、狡猾にめぐらせたシルバーの思惑だった。