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rain of teardrop【黒バス/ジャバ】

第20章 in the maze



そこは薄暗い廊下だったから、睨み付けることが出来たのかもしれない。
野外や明るい場所で同じことをしろと言われれば、名無しはきっと躊躇していただろうと弱気に思った。

シルバーは名無しの不意を突くと、壁のスイッチに触れて廊下を点灯させた。
睨まれたと感じるや否や、けれどパッと明るくなった瞬間に再び俯いた、彼女の顔を見るために。

わざとらしく覗き込んだ名無しの顔は赤らんでいて、困り眉に潤んだ瞳、噛み締めているように見えた、唇から窺える戸惑いの心情。

やはりナッシュから来ていた連絡に偽りはなく、彼女の表情を目にしたことで、シルバーの予想は確信へと変わっていた。

そして改めて見下ろした名無しのそんな仕草に、シルバーはたまらなく高揚を誘われていた。


「訊いたぜ?……妬いてくれたんだってな?…おまえホント可愛いところあるじゃねえか……こうやって戻ってくるあたりなんかも最高だ」

「ちがう……ンッ…ぁ…」

「そうかァ?違うわけねえよな?おまえはオレの女だろうが……妬いてくれねえ方が、オレは悲しいぜ?」


調子に乗るのは悪い癖だ。
自覚もあったし、他人からもよく言われてきた。
ゲームにおいても、プライベートは女性関係においても…。

けれどシルバーは満ち溢れた自信を抑え切れず、偉そうに口を開き名無しの心を掻き乱す。

壁際に迫られて逃げ場のなかった名無しは、俯き顔を、顎を持たれることで阻まれる。

真っ赤に染まった頬の熱を感じるべくシルバーが唇で触れると、彼は名無しの顔をひと舐めしながら、続けざま耳たぶに噛み付いた。


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