rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「ひ……」
「……チッ…、携帯くらい見ろや…」
「っ、あ……、…」
部屋の前から、一瞬にして中に入ってしまう。
それはシルバーが名無しの手を引いていたほかなかった。
彼が自分の到着に気付いたのは、玄関のモニタを見たからなのか、そうじゃなければ、きっと連絡が入ったのだろう。
無論、ナッシュによって……。
ナッシュがどういう文面でシルバーに連絡していたか、または電話していたか。
そのときはわからなかったけれど、とにかく名無しは、シルバーに掴まれた手首の感触に、酷く寒気を覚えていた。
寝室までの暗めの廊下で立ち止まり、変わらず下を向く名無しに、シルバーは一度小さく舌打ちを零した。