rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「……ハッ。可愛いもんだな…そういうトコロに、あいつも嵌ったんだろうよ」
「……ん…ッ」
「何があいつをあそこまで狂わせたんだろうな。……おい、もういいからさっさとシルバーんとこ行け」
「、っ……」
寝室を見て胸がむかつき、頭のなかがまっしろになった。
見たことのない女がシルバーに抱かれ、その二人を別の女二人が羨ましげに見つめ、混ざろうとしていた。
自分が寝かされる同じベッドでそれが行われている……勿論嫌悪感はあった。
そこで足される感情に蓋をしたのは、そうしなければ、自分の矛盾を肯定することになってしまうからだ。
気持ち好さそうに感じている顔など見たくない。
そうしている相手が自分ではなかったのだから。
体位を変える際に初めて名無しに気付き、驚いた表情を見せたのもきっと演技。
彼は誰だって抱ける、誰とだって寝れる、誰だって犯す。
そのうちの一人に、たまたま自分が居ただけだ。
いつしか夢を見ていたのは、いつだって自分だけなのだ――。