rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「ほら……答えてみろよ…ん?」
「っ……」
「シルバーはおまえに惚れてる。オレがそう言ったのはまあ事実だが……女癖がオレより悪いのも嘘じゃねえ。おまえは…それをついさっきその目で見た」
「…っ、わざと……」
「、ハッ……聡明だな、嫌いじゃねえ……。話を戻すぜ、名無しチャン?今からオレの部屋に来いよ……やられ損ねてウズウズしてるだろう?」
「……ッ…」
出会いから最悪だった。
やはりどう転んでもこの男は嫌いだ。
名無しは深々と感じていた。
人の心を掻き乱し、身体を弄び、凌辱の限りを尽して嘲笑するような男。
暴力は一切なかったけれど、されていたことは非道も同然。
時々シルバーの部屋で機が重なれば気まぐれに抱き、シルバーと連絡がつかなくなったときには甘い言葉で誘惑し、断ち切りたいという名無しの決心を鈍らせ楽しんでいる。
今思えば、過去に偶然会ったのも、本当は彼の描いたシナリオのうちかもしれないとさえ感じる。
とにかくナッシュの言葉は、鵜呑みにしてはいけないもので溢れていた。
「来れねえなら此処でやってやろうか?」
「ッ……、ぃ…」
「ハハ……!冗談だろ…そんな怯えんな。―――おまえの考えてることはもうよく分かった」
「……なにが…あなたに分…」
「あァ?言っていいのかよ……フッ。おまえ、…―――」