rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
―――。
――。
数分後。
歩き慣れた道、名無しの足が止まるのは、当然目的地に到着したとき。
既にシルバーの部屋の前まで来ていた。
ナッシュと鉢合わせたことはわざわざ言う必要はない。
だから黙って、いつもどおりに玄関を通り、いつもどおりの行動に出よう…。
そう思いながら一度深く呼吸すると、扉に手を掛け、名無しはそれをいつものように開けた。
「……?!」
名無しがシルバーの部屋に、その身をまずは片足踏み入れた瞬間のことだった。
何とも言い難い緊張感が彼女を襲い、身体には意に反し冷や汗が垂れる。
名無しはこの気持ちが何なのか理解出来ずに困惑しており、瞬間的、胸の奥につかえるものが出来たことだけを認識していた。