rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第1章 rain of teardrop
「なんだ・・可愛い名前じゃねえか・・・。じゃあ改めて・・・名無し・・・オレ達といいことしようぜ?・・・ん」
「・・!!ふ・・・ぐ、ッむ・・――」
夜遅く、確かにそういう時間に一人で外を出歩いていたのはよくなかったかもしれない。
けれどもうずっと歩き慣れていた街並みを背景に、こんな悲劇が自分に降りかかるなんて、実に想像し難いことだった。
ひと気はあったし、別に携帯を触っていたわけでもなかった。
だから背後に誰かが歩いていても、普通に問題ないと思った。
が、背後ばかりを意識しすぎて、前方からも人が迫っていたことに名無しは気付けなかった。
「ッ・・・、おいおい・・歯は立てるなって教わらなかったか?」
「・・・っふ・・!んん・・」
「そうだよ・・・なんだ上手いじゃねえか・・そのまま続けろ。ぐずぐずしてると朝が来ちまうぜ?後も控えてるからな・・ハハッ!」
「?!・・・フ・・っん、ぐ・・」
いかにもな男、いかにもな車中に連れられて、何かを認識する前に目元は塞がれた。
両手を縛られなかったのは、相手から見て、自分が相当非力にでも見えたのだろうか。
頭の中は未だにパニック状態。
勿論気も動転していた。
けれど、名無しはゆっくりと状況を把握しながら、まずは縛られる理由がそもそもなかったことに気付いた。
そして男の台詞を耳にして、自ずと血の気を引かせた。
当然、脈は異常なまでに速まっていた。