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rain of teardrop【黒バス/ジャバ】

第19章 Villain or Ghost?



視線を逸らし気を紛らわせてはいたものの、嫌悪感を持つグロテスクな映画に付き合わされれば、嫌でも身体は緊張し、肩は凝り、口の中が渇いた。

どころか、濡れも甘さが目立つのは必至だったというのに、何事もなかったかのようにシルバーは名無しを抱き、その体内に目いっぱいの射精を施し、行為を終えていた。


シルバーに支配される恐怖の方が事実で、また現実だというのに、フィクションの映像の方が恐ろしいなど……。


名無しが事後、一人でシャワーを浴びに行けなかった理由は、それがすべてであった――。




――。

―――。




「…ふ……ッ」

「~……あー…まったく傑作だな…作りモンの化け物怖さに、オレ様を選ぶんだからよ…おまえは」

「っ……」

「しょうがねえから一緒に入ってやるよ…。そのかわりおまえ覚えとけよ……?もう二度と入って来るななんて言わせねえからな…」

「ッ……ん…」

「!……ハッ…そのしおらしい声も可愛いぜ。――忘れさせてやるよオレ様で……たっぷり好い声出せよ?」


目を閉じるだけでぼんやりと浮かぶ嫌なものたち。

今まさに自分が拒むべき相手に名無しは抱き付いていても、それをどうしてもやめられず肩を震わせていた。

シルバーは驚きののち、やがて事実を把握しきって下劣に笑い声を上げる。
気まぐれに彼女の頭を優しく撫でた。


こんな行為でも、宥めている、という所作に名無しは落ち着きを取り戻し、シルバーもまたそんな名無しを間近に悦を覚える。


「…で……」

「あー?」

「、……脅かさない…で……、途中で出てったり…も……ッ」

「…ッ、アー……調子狂うぜ…。まあいいか…その可愛さに免じてよ」


抱かれた後の汚れた身体を綺麗にするために、身体を汚した相手に縋ることしかできなかったこと。

こんな屈辱は如何ともし難いものがあったけれど、名無しには非科学的な、それもフィクションを気にしてしまっている以上、全うに選べるような手札はなかった。




厚い胸板に摺り寄せた頬、霞み香るシルバーのにおいに酔いそうになる。

それでも離れられなかった。

名無しにとって、頼れる存在がいま此処には、彼しか……。



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