rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第17章 teardrop afterⅥ
つり上がった目元と厚い唇が大きく開く。
ありえないものを見たときの反応を、絵に描いたようにシルバーは示す。
途中、車道に通った一台のタクシーが照らしたライトが反射し、彼が目にしたものを幻と見紛うたのも無理はない。
日頃の行いを考えれば、神様は自分に味方はしてくれないと思っていたからだ。
が、或いは、女神ならば・・・。
「や・・・っ、・・・ッ」
「つかまえたぜ、名無し―――来い・・っ」
ほんの少し、慌てた様子が態度に出る。
それもまあ無理もないこと。
シルバーは心より焦がれていたことを改めて痛感していた。
勢いよく駆け寄り歩道で掴む、手首を握った感触に熱が迸りよみがえる。
その黒く太い腕に囚われた名無しは、彼を振り払う所作を自らとることはできなかった。
20180506UP.