rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第17章 teardrop afterⅥ
暗い照明に派手な電飾が時折飛び交う。
いかにもそこは、治安は良くはありませんとでも言いたげな店内だ。
その一角で一人掛けのソファを勢いよく蹴りつけていたシルバーは、浅黒い肌は頬に馴染んだ赤らみを、じっとりと片手で押さえていた。
「まーた呼び間違えたのかよ・・・何度目だ?これで」
「・・・チッ・・」
あまり言いすぎるととばっちりを食らう。
それを分かっていてもつい、からかいたくなる。
仲間内から見ても、それほどまでにシルバーの言動は穏やかじゃなかったらしい。
喰らいたてだった頬への平手一発は生々しく、怒って退店してゆく顔馴染みの女をシルバーが追わなかったのもまた、理由はひとつだろう。
新調せざるを得なかった携帯には、彼が求めるデータは何一つ残っていなかった。
別の媒体と、ネットを利用して今どき同期させていなかったことを嘲笑われても、責任転嫁できるわけもない・・・。