rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第16章 teardrop afterⅤ
知りたくもない、理解りたくもない、自分自身の薄汚れた業。
考えまいとすればするほど、また下着のなかには濡れた感触が走って、全身は満たして欲しさでいっぱいになる。
「・・・ちがう・・・すきじゃない・・、あんな・・・・――ッ」
乱暴で、強引で、うぬぼれた男。
目を閉じて脳裏に浮かぶ、そのぼやけた影でさえ、おぞましく汚らしい存在に等しかった。
『遊ばれてやれよ』
「・・・・・・」
最後に言い残されたナッシュの言葉が頭に響く。
名無しは、鞄の中からおもむろに取り出した携帯を覗き込むと、受信したメールと着信履歴を黙って見つめた。
全てを消していなかったのは、証拠として残しておくため・・・なんて綺麗ごとを言える立場ではもうなかった。
かける勇気などある筈もない。
送信する為に何か文字を打ち込む気力もない。
結局今の名無しにできたのは、ナッシュに告げられた場所へ向かうことだけだった。
身体が覚えた、思い出し始めた、疼きを鎮めるために――。
20180428UP.