rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第16章 teardrop afterⅤ
「・・・シルバーはおまえに惚れてるぜ、遊ばれてやれよ。・・・じゃあな」
名無しはナッシュが告げた指定の場所と、付け加えた彼の一言、どちらも聞いていないフリをして視線を意図的に逸らした。
たとえ見られていた顔色ひとつで、実は聞き入れていると悟られていたとしても・・・。
流石に一緒に居た女は痺れを切らし始めたのか、ナッシュのジャケットをくい、と引っ張り、動向の進展を望んでいた。
すると、ナッシュは分かったとでも言うべく、かわりに彼女の髪をいやらしく撫でて返事をした。
それぞれが歩道の向かうその先にあったのは駅と、あとは賑やかしいエリアだ。
ナッシュたちはそこに行くのが目的だったのだろう・・・そしてその途中で、名無しに偶然会っていたのだろう。
「・・・・・」
告げられた場所もまた、同じ方向、繁華街にあるらしい店の名だった。
行く理由なんてなかった名無しは、そうは思っていても、先にその場を立ち去ったナッシュと女の背を少し目で追い、一人悩み込む。
早く家に帰るべきだ・・・頭では嫌というほど分かっている。
なのに、その嫌というほどという気持ちに負けない程、別の欲望が彼女を襲う。
「・・・・っ・・・」