rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第15章 teardrop after Ⅳ
「―――・・・ッ・・」
遠くない筈の最寄りの駅が果てに感じる。
立っていられなくなるほど足腰の力が急に抜けて、名無しはその場でひとりしゃがみこんだ。
「・・・なんで・・・・―――」
彼に抱かれるかもしれないと思った車内で、一瞬でも浮かべてしまった凌辱を浴びる日々。
考えれば濡れると思った・・・だから考えることをやめた。
その結果、濡れなかった。
こたえはひとつだ。
「いや・・・なのに・・、どうして――」
「・・・・・」
「どうして・・」
思い出させるのだろう。
そしてこんなときに限って、呼び出してくれないのだろう。
躾けられていた名無しの身体は、今更になって潤滑の涙を溢れさせていた。
自ら選んだ置き去りの場所。
彼女の背後に人影が迫っていたことに名無しが気付くのは、その人影の主が声を発したときだった。
20180420UP.