rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第15章 teardrop after Ⅳ
「?!」
「・・・ッ・・」
別に少しなら構わない・・・口にはしなかったけれど、向こうがそう捉えてくれるような素振りを名無しはとっていた。
が、そんなときだった。
ふいに脳裏に駆け巡ったのは、あの男による、絶対服従させられている辛い時間。
彼に胸元を乱され、そこに口付けられ、集中しようとした矢先に目蓋の裏に浮かぶのは、泣き喚きながらも下着の中を濡らす自分。
「・・・!名無し・・?」
「ッ・・・」
「・・・、傷つくな・・。ほかに好きなヒトでもいる?」
狭い車内で足をばたつかせ、足元がドアに当たり広がった股間。
スカートの中にするりと入った彼の手は、はっきり言って嫌じゃなかった。
下着のふちに指をかけられて、その指先が、秘部にあたるまであと少しだろう・・・。
が、その瞬間、感じていた筈の自分が自ら我に返る羽目になり、そして視線をずらせば、彼もまた驚き顔でただただ一瞬ときを止めていた。
「!違・・・あの・・」
「こんなに・・・全く濡れてないんだもんな・・自信なくすよ」
彼の指先がかすめていたのは、想像し得るものとばかりに思っていたものとは、真逆の感触。
名無しの下着のなかは、一滴の蜜も溢れていなかった。