rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第13章 teardrop afterⅢ
まるで習慣のように仕込まれる愛撫は、全身を攻められる。
耳元に歯を立てられたと思いきや、中に舌を捩じ込まれ、その舌は音を出しながら首筋を滑ってゆく。
乳房に激しく吸い付くのもまた、シルバーが好んでいた行為のひとつだ。
露わになった腋のラインは押し付ける様に舌先を宛がい、じんわりと滲んだ汗の匂いには、雄の如く息を荒らげ、興奮している様を暗示させる。
入念とは言えたものではなかったものの、執拗さだけは、彼の所作からいつだって嫌でも汲み取れた。
「あ・・、ぁ・・・」
「フッ・・・野暮なこと聞くんじゃなかったか?まあ誰が見ても分かるか・・・」
「・・・っ・・」
それは足を開かされ、名無しが皮膚の薄い、下着の線に沿って愛撫を浴びていた矢先のことだった。
撫でられても舐められても声がどうしても上がってしまうその部位を刺激しながら、シルバーは彼女の捲れたスカートを難なく脱がす。
目下により肌色が拡がって、拘束されながら恥じらう名無しの姿がシルバーに映ると、彼は生唾を飲み込みながら再び枕元へと手を伸ばした。
下部に忍ばせていたらしいものを手に取ると、それを名無しの目の前で見せつけ、こたえの解りきった問いかけをわざと謀る。
シルバーの持っていたそれが何か・・・理解した瞬間、彼女の両手首には、囚われてから一番の痛みが走った。
「安心しろよ、おまえの為に買ったんだぜ?ちゃーんと新品だ。ハハ・・・ッ」
紐が限界まで引っ張られてピンとなっていても。
手首に錠の革が食い込んでいても。
痛みを感じるよりもまず、抵抗しなければという概念が頭をよぎる。
シルバーが見せつけたのは、彼女を弄ぶ為、そして悦ばせる為に手に入れていた、名無しにとっては到底おぞましいに相応する卑猥な玩具だった。