rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第12章 teardrop afterⅡ-5
「・・・ッ・・」
「ハァ・・・ったく驚いたぜ・・、・・・ん?」
「っ・・・ふ・・、ぅぅ・・」
「!・・・おいおい・・また泣いてんのかァ・・?そんな震えてよ・・」
『大人しく待ってろよ』
それはナッシュが帰る少し前、シルバーが名無しに言っていた言葉だ。
ちょうどようやく、今はその機が訪れていた。
けれど、意外にもシルバーは自身を勃たせてはいるものの、そこで名無しにがっつこうとはしなかった。
寝室からナッシュが退室し、玄関の扉が開閉する音までを律儀に確認する。
それを耳にしていたのは、名無しも同じだった。
「ッ・・・」
「・・・アー、分かるぜ?震えちまうほど好かったんだよなァ?ハハ・・ッ!」
二人きりという空間に戻ったことで、無性に、無意識に震え出す身体。
ベッドの上で身を縮め、自らの人差し指、第二関節の部分を口に宛がい、名無しはそこを少し強めに噛み締めた。
耳元で囁かれた、名前を呼ぶナッシュの声がこびり付き脳内を駆け回る。
汚い言葉で罵られて、まだ次があるかもしれないことを匂わされる。
恐怖が、彼女の華奢な肩を延々と揺らしていた。