第12章 思惑
七里「----我々を捕らえたからと言って図に乗るな、信長。」
「七里・・・・」
「お前が・・・・首謀者だと?」
光秀に紹介されたお坊さんが、なつたちの前で笑っている。
七里「残念ながら、私は首謀者ではない。それどころか・・・我々は信長を滅ぼす大計画の、歯車の一部でしかないのだ。」
「大計画、だと----?」
「貴様の裏にさらに首謀者がいる、ということか。----面白いことになってきおった。」
動じることなく微笑する信長を、七里が睨みつける。
七里「笑っていられるのは今の内だぞ、信長。いずれお前は、わが同胞の手で殺され、地獄の業火で焼かれるさだめよ。」
「ほざけ、下郎。」
「・・・」
腹の底に響く声で告げる秀吉は、今にも七里にとびかかりそうだ。
「城に戻り次第、首謀者の名を吐かせてやる。それまでは、死ぬことも許してやらねえ。」
七里「っ・・・好きにするがよい。この襲撃を手引きしたお前らの身内も、道連れにしてくれるわ。」
「・・・・何?」
七里「明智光秀--奴の御殿を調べることだ。私と交わした密書が出てくる。」
「・・・・っ」
光秀に塒まで暴かせるつもりだったが・・・・予定変更だな。
家臣1「やはりか!光秀殿は謀反を企てていたのだな・・!」
家臣2「許しがたい・・・!即刻、取り調べてつるし上げねば!!」
「静まれ、貴様ら。」
家臣たち「っ・・・失礼いたしました。」
信長の一声で、あたりは不自然なほど静まり返った。
七里「くくく・・、ははっ・・・」
織田勢が顔を見合わせる中、七里の高笑いが響き渡る。
そんな中、なつは一度信長と目を合わせ、その場から離れた。
秀吉「------あいつに直接、確かめる」
哄笑が響く中、秀吉が拳を強く握りしめていた。