第12章 思惑
「この程度の力量で信長様にたてつくとは笑止千万。----恥を知れ」
落馬した敵を見下ろす瞳が、怒りに満ちてぎらついている。
「お館様はなつを連れて後方へお下がりください!」
「構わんが----ぬかるなよ。」
「御意。」
短く応じ、秀吉は前へと飛び出した。
「お前ら、続け!」
家臣たち「はっ」
「大丈夫なのか?」
「彼奴らがこんな小物に負けるわけもない。」
「そうか・・・」
刀を振り上げる秀吉の馬が、敵の渦中へ突っ込んでく。
もうもうと舞う土煙の中、他方に飛び出した織田勢が、敵を分断し、信長を囲みかけていた布陣を崩していた。
信長となつの乗る馬を中央にして、武士たちがその身をもって、守りの壁を築いている。
一瞬で、立て直した・・・・流石、先鋭部隊なだけはあるな。
敵を見据える秀吉の眼光は、鋭く、険しい。
「何者か知らないが・・・全員、地に這いつくばらせ、わびさせる。お前たちがたてついたのがどんなお方か、その身をもって思い知れ。」
敵1「なにを生意気な・・・・っ」
敵2「蹴散らせ!敵は信長一人のみ!」
「行かせるか!」
敵2「ぐわ・・・?!」
秀吉が息もつかずに刀を振るい、敵を地面にたたきつけていく。
力強く荒々しい剣さばきは、普段の温厚さのかけらもない。
けれど-----
敵2「臆するな!こちらの手勢は相手の三倍、恐るるにたらず!」
「っ・・・・・・」
数人の敵が刀を振り上げ、秀吉めがけて突進した。