第12章 思惑
薄暗がりの中、光秀の瞳が行燈の火を移してギラリと光る。
「それは我々とて同じ。信長に近しい明智殿と手を結べるとは願ってもないことだ。」
「ではそろそろ、あなた方の頭領を紹介していただきたい。何せ私は彼の、顔も名も知らない。」
「あの方は身長青方では。姿を見せるかは、今後の明智殿の働き次第だ。」
「・・・まあ、それでもかまいません。疑われることはなれております。明日、あなたの”狩り”に九兵衛を行動させましょう。私は城にとどまり、知らせが届くのを楽しみに待っております。」
「よかろう。----明日が、信長最後の日だ。」
暗い笑みを堪え七里は立ち上がり、夜の闇へと去っていった。
光秀は七里が去るのを、能面のような表情で見送った。
「九兵衛、後は頼むぞ。決して、ぬかるな。」
「-------はっ。」
「・・・久兵衛。顔は覚えた。明日の成り行き次第では、重要な人物になりそうだな。」
七里と光秀のやり取りを、木の上からなつは眺めて見ていた。